西表島には家賃の発生する家を持たずにジャングルや川の利を生かしそこにテントを持ち込み10年以上も生活をする人々がいるという。
そのうちの一人に会ってきた。
とあるビーチから入るジャングルのすぐ入り口に、もう10数年と住んでいるというその西表人(仮名)の少しだけの情報が頼り。僕が今いるゲストハウスの管理人さんが昔、訪ねてお世話になったのだという。
その管理人さんからの手がかりは沖に浮かぶ白いブイのあたりのジャングル入り口という事。そのビーチはかなり広いそして歩いて探すしか方法が無い立地なのだ。
そしてゲストハウスの管理人さんから、西表人さんへのお土産の黒紫米を届ける使命も頂いた。
僕はゲストハウスで知り合った元パフォーマーで現旅人のフユキ氏と二人でその西表人さんが住むビーチに立っている。
前日からそのビーチで一泊していたのでフユキ氏はすでにブルーシートが張ってあるのを確認していた。僕はその日ひたすら釣りをしていた。
僕らはそのブルーシートが張ってあった所に向かっている。観光客が来たくなるような広いビーチでその端まで行くと岩場になる。
そこをポンポンと越えるとまた、隣にはビーチが続いておりジャングルから流れ出る沢の跡を頼りにジャングルに近ずくと入り口のような通路があり、ブルーシートの張ってあるのが見えた。
緊張してフユキ氏が「こんにちわ。西表人(仮名)さんですか?」と声をかける。
テントの中から寝起きの声が聞こえた。
テントから出てきたのは若い人だった。
そしてその若い方は西表人とは違いますと言った。西表人さんは更に隣の隣くらいのビーチ辺りと言う。この若い方も詳しく知ら無いという。
フユキ氏は自分の住処を探すための今回の旅でもありテント生活をする人の情報をもっていたようでこの若い方の名前も知っていた。
この若い方はここに住んで2ヶ月経つという。もうすぐ切り上げるようらしい。きのう高級食材のかなりでかヤシガニを捕まえて興奮したという。
すこし話をして僕らは本来の目的である、西表人さんの所に向かった。
どこまで歩けばよいのかわからない広大なビーチを、かんかん照りの近すぎる太陽光の下また歩きだした。
僕はこの一連の流れで、
観光マップにも無い、
この人づてで行き場所、見る場所が現れていくロールプレイングゲームと全く変わらないような冒険が始まった事に
そして隣によく分からない旅人の仲間がいる事に興奮していた。
20代前半までは初めて会う人によく言われた、君は目がキラキラしているな。というあの状態に自分が近ずいて行ってるような感覚をこの西表島に来てから感じている。
自覚していなかったあの頃の目のキラキラ、そして西表人に僕は会えるのか。
時間がないので次に持ち越す。
つづく