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Shin Ikeda

オカリナが生んだ犬との溝


旅行先のお土産屋さんで見つけた1000円のオカリナ。

これを手に入れてからは、川下り中にパックラフトという一人乗りボートの上で吹いたり、森の中で吹いたりしていた。

そんなことをしているとある人から、こっちの方がいい音だよアルトの。と新しい黒くてカッコイイオカリナを貰った。

台湾旅行の途中にオカリナショップがあったのでわざわざお土産にと買ってきてくれたのだ。

それからは気に入ってこの黒いオカリナを吹いている。

先日もキャンプ場でキャンプをした。そこにいた小さい女の子と犬がいた。二人ともとても元気で人懐こかった。

そう、この時までは。。

近寄ってくるし遊んで欲しそうにする元気な黒い犬。

でも追いかけたり逃げ回ったり跳ねたりして遊ぼうとコチラがしてもイマイチ遊んでくれない犬。まだあと少しというところ。

そこでクビにぶら下げていたオカリナを僕は適当にピロピロピロピロ〜!!ピロピロピロ!!と指を素早く動かして吹いてみた。

それからその犬は猛ダッシュで逃げていき、それっきりこちらのテントに近くづく事はなかった。

悲しいので僕は夜も吹いて吹いて泣きながら吹き続けた。。。

それでも忘れる事などできず、その晩は荒ぶるようにテントの中でトランプの大富豪を意味なく何回も続けた。なぜキャンプはトランプが続くのか。。疲れて寝た。

そして次の日の朝。

帰る支度をしているとあの女の子と犬が居た。

あのオカリナ事件以来だ。犬との緊張の再開。

犬はまだオカリナトラウマを少し抱えているという感じだった。そんな事を気にしていてはいつまでもこの溝は消せないと思ったので、こちらから心を解放した。

後ろで縛っていた髪の毛も解いた。

少し無理やり抱え上げた。

そしたらすぐに許してくれた。

あっという間にオカリナトラウマは無くなり顔中舐め回す。慣れてないから気持ち悪かったけど仲直り出来たからよかった。

犬に適当にオカリナの音をぶつけるのは良くない事だと判明した。

という素敵な実話でした。

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